先日、いつも行くテキーラバーでテキーラの糖化プロセスについて考える機会がありまして、気になったので自分なりに調べてみました。
まず、お酒っていうのは、酵母菌が糖をアルコールと二酸化炭素に分解するというプロセスが必ず必要です。ワインやリンゴは自身で糖を持っているので、あとは酵母にお任せ!って感じなんですけど、麦を使うビールやウイスキーについては、麦芽が持つ酵素の働きで「でんぷん」を「糖化」しなければならないのです。
で、テキーラの作るプロセスの中にもこの糖化というものがあるのですが、麦芽の持つ酵素を使った糖化とは違い、スチームで加熱するという工程で実現しているのです。つまり、テキーラの原料アガベを加熱すると、アガベが甘くなるということです。
同じく加熱して甘くなる現象をサツマイモで経験したことがあると思います。加熱前のイモはただのデンプンの塊ですが、加熱することによって糖に変わります。これはイモに含まれるβアミラーゼという酵素の働きだそうで、70℃で最も効果的に糖化させることができます。ご飯をかむと甘くなるのも唾液のアミラーゼがデンプンを糖化させているからです。
では、アガベはどうなのか。アガベには実はデンプンは含まれていないそうで、代わりに「イヌリン」というものが球茎部に蓄えられています。イヌリンは果糖(フルクトース)が連なってできた多糖類で、デンプンはブドウ糖(グルコース)が連なってできたもの。デンプンはアミラーゼで、連なったグルコースをバラバラにして糖化させますが、イヌリンはアミラーゼではなく、イヌリナーゼで分解します。
ここで実はイヌリナーゼ以外でもイヌリンを糖化させることができる方法があります。それが加水分解というものです。つまり、水と混ぜ合わせた時にイヌリンが分解されて糖になるということなのですが、加熱することで分解のペースを上げることができるそうです。さらに、加熱の際に酸性であれば、なお加水分解が促進されるそうなのですが、生のアガベのpHが5、加熱の際は4.5くらいになるという好条件。
「スチームで加熱する」という工程はイヌリンを含む酸性のアガベにとって最適化された糖化プロセスだったということです。確かなデータは見つからなかったのですが、アガベのイヌリン含有量は25~30%くらいで、サツマイモのデンプン含有量に近いので、イヌリンがしっかり糖化すればかなり甘くなることは容易に想像できます。
ということでアガベの糖化は「イヌリンを加水分解して行われる」というのがテキーラおいしいbot的な結論です。研究者ではないので、いろいろ間違いがあったらコメント等で教えてくださると幸いです。
ということで、あざっした。
参考: