みなさんはテキーラが何からできているかご存知でしょうか。
今日はそんな話です。
テキーラの原料への誤解
情報社会の最近はあまり言われなくなってきたようですが、よく「サボテンからできている」と誤解されることがあります。おそらく、今のようにインターネットが発達していなかったころに、伝言ゲーム方式でそのように伝わってしまったのでしょう。
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「サボテンみたいにトゲトゲした植物のアガベ」
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「サボテンみたいなアガベ」
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「サボテンの仲間のアガベ」
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「サボテン」という感じで
たしかにテキーラの作られるメキシコではウチワサボテンのステーキやサラダが食べられていますし、ドンタコスのCMにもサボテンが登場します。また、ポルフィディオというテキーラ(厳密に言えば現在テキーラではない)のボトルにサボテンがあしらわれていることから、サボテンが原料と認識してしまうかもしれません。
しかし、テキーラの原料はサボテンではなく、アガベ(ブルーアガベ)という多肉植物の球茎部から作られています。球茎とは茎が肥大化して球状になったもので、他に球茎を食すものにサトイモやコンニャクイモがあります。ちなみに、ジャガイモも同じく肥大化した茎なのですが、薄皮で包まれていないため「塊茎」といい、サツマイモは根なので「塊根」といいます。
なかにはメキシコ料理店でテキーラを出しているにもかかわらず、アガベをサボテンの一種だと思っている方もいたりするようなので、ネット世代でない人の「テキーラ=サボテン説」普及率は結構なもののように思われます。この説を信じる人は自分の知識自慢をしたがる人も多いので、下の世代にも広がってしまったのではないでしょうか。
サボテンとアガベの違い
さて、サボテンとアガベはそんなに近い植物なのでしょうか。私たちがよく目にする、細かな針がたくさんついたサボテンは「サボテン科カクタス亜科」に属するサボテンで、これでテキーラが作られるとはなかなか思いにくいと思います。
テキーラになると誤解されているのは、おそらく「サボテン科ウチワサボテン亜科」のツルツルしたサボテンかと思います。
こちらのサボテンは食用とされるものも多く、サボテンサラダなどで食べられています。絞ったらおいしい汁でそうですし、その汁を発酵させたら美味しいお酒ができそうなのも分からなくはありません。
一方、アガベは「キジカクシ目キジカクシ科」に属する植物で、同じキジカクシ科にはアスパラガスがいます。つまり、身近な植物でアガベにいちばん近いものはアスパラということになりそうです。「アガベ アスパラ」で検索すると本当にアスパラに似ていて面白いです。巨大なアスパラという感じです。
ちなみに見た目の似ているアロエは「キジカクシ目ススキノキ科」に属する植物なので、アガベの親戚のおじさんくらいの扱いでしょうか。
サボテンとアガベは、サボテン科とキジカクシ科の時点で他人なことは明白なのですが、サボテンは双子葉類、アガベは単子葉類なので赤の他人以外の何者でもありません。ウーパールーパーとチワワくらい違います。もう全然違いますね。
サボテンでお酒は作れるのか問題
では、サボテンでお酒は作れるのでしょうか。
お酒を造るためには糖分が必要になります。ワインであればブドウジュースの糖度、テキーラならアガベジュースの糖度がアルコールに変わっていくわけです。ワインに使うブドウジュースの糖度は20前後で、ジュースの量の12%ほどの量のワインができるそうです。
サボテンでお酒を作るためには、サボテンに一定量の糖が含まれていることが前提となります。それではサボテンの糖の含有量はどれくらいなのでしょうか。食用にされるウチワサボテンの「ノパール」はそのほとんどが水分で糖質は100gあたり数%しか含まれていません。これではお酒を作ることは難しいです。
しかし、サボテンはウチワサボテンだけではありません。サボテン科のヒモサボテン属にはなんとドラゴンフルーツが属しているのです。ドラゴンフルーツは2004年に農研機構で実験がされ、醸造することに成功しています。つまり、サボテンでお酒は作れるのです。(ちょっと腑に落ちないですが)
ドラゴンフルーツをウォッカなどに漬けて作る、ドラゴンフルーツ酒もあるようなので、真のサボテンのお酒も飲むことができます。
まとめ
・そもそもサボテンとアガベは違いすぎる
・サボテンのお酒はドラゴンフルーツのお酒
あざっした。
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